上海のビジネス情報誌「BizPresso(ビズプレッソ)」の「新語にみる中国ビジネス風景」コーナーの取材協力をさせていただきました。

この中で紹介している「瘋狂的石頭」は香港の人気俳優「劉徳華」(アンディ・ラウ)が若い監督を応援するためのプロジェクトとして作られた映画です。

上海BizPresso 中国語の新語

方言(四川語)が多くて聞きづらいですが、普通語の字幕も入っているので大丈夫だと思います。中国特有のブラックユーモアがよく効いていて面白いですよ!

以下「BizPresso」9月19日号の記事より抜粋

「素質、注意素質」
映画のセリフから派生する流行語で、やわらかい言い回しに

中国の若者の流行語はいったいどこから生まれるのだろうか――。最近の上海で最も影響力があるのが、インターネット上に飛び交う言葉、そして映画の中のセリフだという。

若者の間ではヒットした映画を見るのは当たり前、しかし単に見るだけでは話題についていけない。今時の若者は映画の中の面白い言い回し、巧みな表現をうまく日常会話に取り入れているようだ。

そこには単に面白さがあるだけでなく、流行している映画の一部分を取り入れているという話題性や先進性、さらには、映画のセリフを真似ることで、やわらかい表現でコミュニケーションを潤滑にしようという思惑も見え隠れする。

「石頭語」、なる言葉がある。これは今年上半期に大ヒットしたコメディ映画「瘋狂的石頭」で使われた、セリフや言い回しの事を指す。宝石を巡る泥棒の話だが、劇中の随所にちりばめられた方言や独特の言い回しで、映画の枠組みを超えてたくさんの流行語を生み出した映画ともなった。

あーもう我慢できないと表現するのが「我頂你个肺」。一見なかなか洒落た服装だけど、実はあまりいいブランドではない、しかし自分のセンスのよさを自慢げに語る、「看着没 ××牌子的」(見て、見てこの服って、実は××のブランドなんだ)、なんて言葉が使われている。

そのひとつで、最近の職場でよく使われるというのが、「素質、注意素質」。「もうすこしマナーに気をつけなよ」という意味。これは素行に問題のある部下に対し、我慢ができなくなった上司がちょっと苛立ちを抑えながら、釘を刺す言葉だ。

ニュアンスはストレートにいいたいところを抑えて、あくまでもやわらかめ。多少のウィットを残しながら、教育的でも、あくまでも硬くはない言い回しだ。互いに気まずさが残らないような言い方でもある。

映画の中の言葉や独特の言い回しをうまく取り入れ、タイムリーにその言葉を使う。そういったコミュニケーションが中国人の職場では流行っているものらしい。あくまで冗談交じりに、表現をやわらかく、できるだけ面白い言い回しで。

そうすることで仕事に追われるストレスを和らげようとしているのかもしれない。そうしなければ、ストレスを溜めた社員は無断欠勤したり、簡単に会社を辞めてしまうかもしれない。

そしてやはりというか、当然のように、そんな事態に対応する「石頭語」もちゃんとある。「(你以為這是)公共厠所嗎、想来就来想走就走」(ここは公衆トイレなんかじゃないぞ!自由に出入りなんかして)。

取材協力:王雯妍老師(上海の日本人向け中国語学校・コラボラーニングセンター)